人は誰もがしあわせに暮らしたいと願っています。すべての親御さんは我が子がしあわせに近づけるよう子育てをします。
その『しあわせ』と関係が深いのが『自己肯定感』です。『自己肯定感』≠『しあわせ』ではありませんが、しあわせになるための基礎となるのが自己肯定感です。
人が生きていくために大切な感情である自己肯定感ですが、高く持ち続けることが難しいのも自己肯定感です。
さてその自己肯定感とはいったいどんな意味でしょうか?
自己肯定感とは?……『しあわせ』の基礎‼
自己肯定感とは、自らが普段のままの飾らない自分を評価できる感情のことを言います。
自分の存在を肯定できる人は、自己肯定感の高い人と言えます。自己肯定感は、その人本人がありのままの自分でよいと思う心の状態をいいます。
あなたは、自己肯定感の高い人?
自己肯定感の高い人は、ありのままの自分を認め『これが私です』と自分に自信をもって肯定できる人で、自分の長所も短所も全てを受け入れています。
ありのままの自分を良しとするポジティブな感情を持っています。
背伸びをすることも、良く見せようとすることもありませんので、大きなストレスもかかりません。
落ち込んだ時の立ち直りが早く、落ち込む程度も小さくてすみます。よって、行動に対して良い循環が生まれます。
前向きで実行力が備わっていますから、失敗したときでも『次に頑張ろう』と考えます。切り換えが早いのがこのタイプです。
自己肯定感の低い人
自己肯定感の低い人とは、消極的で否定的な考えを持つ傾向があります。
ものごとをネガティブにとらえることが多いので、何に対しても批判的になりがちです。
自分でやってみようとする行動力が少なく他人に頼る(依存する)ことが多くなります。
うまく行かなければ、大きく落ち込み、立ち直りが遅い人がこのタイプです。よって自己肯定感の低い状態が長く続きます。
他人の行動が気になったり、人と比較して満足を得ようとする傾向があります。躊躇することで、より行動に遅れが出てしまいます。
日本人の現状と意識改革
先ず、最初に日本人の現状を見てみましょう。下記は内閣府が行った調査の一部です。
日本を含めた7カ国の満13~29歳の若者を対象とした意識調査(我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成25年度))の結果です。
内閣府調査より 内閣府調査結果
日本の若者の半数が自分に満足していません。
中には頑張ろうと前向きな方が含まれている可能性がありますが、他国の若者と比較すると低いのがわかります。
上記には記載してありませんが、物事に対して意欲的に取り組もうとする意識も低く、やる気が出ないと感じる人や悲しい・ゆううつだと感じている若者が多いのが日本人です。
低いまま受け継がれる自己肯定感
日本人が美徳としてきた謙遜・謙虚・遠慮などの一歩退いた態度は、世界で絶賛されることもありますが、自己肯定感の観点から言えば、けっしてほめられたものではありません。
以前と同じ考え方で子育てを続けていれば、低い自己肯定感は、祖父母、両親、子供、孫へと受け継がれていきます。
グローバルな時代を迎え、以前のままではいけません。全世界の人と向き合っていく現在、自己肯定感の高い子供を育てる必要があります。
以前の日本では、相手のお子さんを褒めるために、自分の子供を卑下することがよくありました。『お宅の◯◯ちゃんは凄いね』『この子なんて何にも出来ないの』『この子何やってもダメなの』こんな話を聞かされるお子さんは親の本音でなくても辛いですよね。
多くの親御さんが子育ての意識を改め、”我が子には自己肯定感の高い子になってほしい”と実践すれば、良い方向に向かいます。
自己肯定感をあげるために、親御さんに続けて欲しい子育て方法
自己肯定感の高いお子さんに育てるためには、どうすれば良いでしょうか?下記項目を実践することが大切ですが、継続がより大切です。
お子さんを愛する
全ての親御さんがお子さんを愛していることは間違いありませんが、親御さんがお子さんを愛し、お子さんが愛されていることを感じることが大切です。
『自分は愛されている』『自分はここに居て良いんだ』『私(僕)は自分が好きだ』と感じる事で、自己肯定感が高くなります。
しかし全ての親御さんが正しい愛し方をしているわけではありません。過保護になったり、厳しすぎてもいけません。また、自立を妨げるような過剰な愛や過干渉もよくありません。
スキンシップをしよう❗
お子さんとスキンシップをすることでも自己肯定感を上げることができます。
特に、『ハグ』『ギュー』は効果的です。登校前や寝る前など定期的に行うのも良いですが、お子さんの求めるタイミングでの『ハグ』『ギュー』が効果的です。
お子さんが求める時が最高のタイミングですが、沈んだお子さんを感じたら積極的に『ハグ』『ギュー』をしましょう。
お子さんが求める場合は、忙しい家事の手を止めて、心を込めて行いましょう。
例えば、いつ何時でもお子さんを抱っこして愛を伝えます。小さい頃だけでなく小学校へ入学してからでもお子さんの求めるハグやギューは大切です。(大きくなってからのハグやギューも自立を妨げるものではありません)
家族でコミュニケーションをとる
お母さんだけでなくお父さんや家族全員とコミュニケーションをとることはお子さんにとって大切なものです。
家族で向き合って話をする以外に一緒に片づけをする時、一緒にお風呂に入る時、料理の手伝いをする時も、いろんな事を聞き・話ながら、楽しくコミュニケーションをとることができます。
お子さんは、話す事の楽しさや喜びを覚えます。近所の人や親戚の大人に対しても積極的に話かけれるようになれます。
コミュニケーション力がつくことで、誰とでも仲良くなれて、相手を思いやる心が生まれます。
親子の信頼関係が築かれることで、アドバイスや意見が受け入れやすく、素直になります。(考え方が前を向きで積極的に動けるようになる)
毎日の『おはよう、さようなら』『ありがとう、どういたしまして』など言葉のやり取りで、相手の印象が良くなり、思いやる気持ちや、共感したりをすることを覚えます。(相手に寄り添い、人にやさしくなれる)
お子さんを褒める・感謝する
お子さんを褒める事や感謝することで親子の強い信頼関係が築けます。褒めることや感謝することは、相手を認めることになり、認められたお子さんは、素直に親御さんの話が聞けるようになります。
お子さんは、褒めてもらうことや感謝されることで自信が付いて、積極性やチャレンジ精神が養われます。
ポジティブ思考になったことで、多くの人とかかわり合い多くの事を学びます。
褒める方法については良し悪しありますが、基本的には褒めることは良いことです。
些細なこともほめることは大切ですが、お子さんが疑問を感じるような不自然なほめ方はやめましょう。
お子さんは敏感で、簡単に不自然さを感じ取ってしまいます。
褒め方は、お子さんの人格や能力、結果をほめるより、お子さんががんばった行為や過程をほめましょう。
努力をほめることで次もがんばろうと思います。 結果が芳しくない場合でも経過をほめることはできます。
能力や結果をほめると?
『〇〇ちゃんは偉いな‼』『100点凄いな』などとほめた場合、お子さんはプレッシャーを感じると共に、良い成績や100点が取れなかった時は、ほめてもらえないとがっかりします。これが何回も続くとやる気をなくしてしまう恐れがあります。
お子さんにプレッシャーを与え、結果によって、褒めてもらえないと考え、悪影響です。
お子さんがお手伝いをしてくれた際には、感謝をしましょう。『手伝ってくれてありがとう。凄く助かったわ❗』など手伝いの内容に沿った感謝の言葉にしましょう。褒めると同様に『偉いね』『凄いね』はやめましょう。
お子さんの自己肯定感を下げてしまう行動
お子さんが持ってる積極性にブレーキをかけるのが親御さんの心無い言葉や態度です。
親御さんにほめてもらえば嬉しくて大きな喜びとなり、叱られば大きく落ち込みます。
お子さんの話は真剣に聞く
お子さんから話しかけられた時、『今忙しいから』『後にしてよ』『それじゃ手短にね』などと言って取り合わないこと有りませんか?
また、スマホの操作しながらお子さんの話を聞いたことは有りませんか?
悩みを抱えたお子さんは、真剣に聞いてくれない親御さんに失望します。
『僕のことなんてどうでもいいんだ』『僕のこと心配しないんだ』など親御さんの態度に自分を否定されたと思い込んだりします。
お子さんからの相談は、仕事の手を休めスマホの手を止めてよく話を聞きましょう。
お子さんの習い事や試験に対して、結果や点数で判断
親御さんは、習い事で成果を出したり、試験で良い成績を取ったら褒めてあげます。
しかし結果だけに注目してしまうとお子さんの努力やチャレンジ精神が削がれてしまいます。
人間だれしも失敗を繰り返して上手くなっていくもので『失敗は成功のもと』や『失敗すればするほど、我々は成功に近づいている』といいます。
失敗を恐れないで挑戦し続けることや頑張った過程も褒めてあげましょう。そして上手くいかなかった理由をいっしょに考えてあげましょう。
怒るときに使ってはいけない言葉
本来、お子さんを怒ることをしてはいけません。『叱る』ことはあっても『怒る』ことはいけませんが、万が一イライラを積もらせ、お子さんを怒る(怒鳴る)場合でも、下記の言葉は使わないでください。
『叱る』と『怒る』は全く違った意味を持ちます。叱る場合はお子さんに『良くなってほしい』と言う思いがありますが、怒る場合は自分の怒りが先に立ち、『良くなってほしい』は二の次になってしまっています。
冷静になり先ほどは怒ってしまったと感じた場合は、素直にお子さんに謝りましょう。
笑いながらでも使う言葉ではありませんがお子さんに向けた言葉としては不適切です。
絶対使ってほしくない言葉が、人格や能力を否定する言葉です。『ずるい子』『だらしない子』『意地悪』『情けない』『ルーズな子』『不器用』『口ばっかり』『お前には絶対ムリ』こんな言葉を使ってはいけません。
怒鳴られただけでも怖いのに、こんな言葉で怒鳴られたら、生きていけませんよね。
お子さんは、自分の信頼している親御さんの口から発せられたこれらの言葉は、とげのように刺さり大人になっても抜けません。
自己肯定感が高い子の特徴
高めた自己肯定感では、前記述示した『幸福度が高い』『ポジティブでプラス思考』『立ち直りが早い』『前向きで実行力が付く』などがあります。
子供が『幸福度が高い』『ポジティブでプラス思考』『立ち直りが早い』『前向きで実行力が付く』を獲得している場合、コミュニケーション力も高くなり、チャレンジ精神が旺盛となります。うまくいけば、自分の力を信じることも可能となります。
『自己肯定感』と『自己効力感』の違い
『自己肯定感』とよく似た言葉に『自己効力感』があります。
自己肯定感は「自分自身の存在そのもの」に対する評価で人間性(生きる)を現します。
自己効力感は「自分自身の能力」に対する評価です。
自己効力感が高いとは、ある状況において、良い結果を出すための行動がとれる能力を有して自信を持った状態です。
自己効力感は、行動力や成功する自信を現しますので職場や企業では、自己効力感の高い人が求められます。
学校の勉強が出来て優秀な成績を採るお子さんは自己効力感が高いと言えますが、自己肯定感が高い状態であるとは限りません。
必要以上に他人と比較したり、比較して満足を得ようとする状態は自己肯定感が高いとは言えません。
親御さんの自己肯定感を上げる
『自己肯定感の高いお子さんに育てたい』そう考える親御さんは、自身の自己肯定感を上げるよう努力することで、お子さんとの接し方が変わります。
親御さんが自身の自己肯定感の低さを認識して、変わろうと考えている時点で、よい方向に向いています。
どんな些細なことでも良いから、今の生活を少し変えてみましょう。
夜更かし人間であれば、早寝早起きに切り替えてみる。
朝食をとっていなければ、早起きしてしっかり朝食をとる。
自分の行ってきた自己肯定感を下げる行動を見直し、極力行わないようにしましょう。(人の悪口は言わない)(周りの相手と比較しない)(積極的に動くように心がける)
自分が幸せだと感じることが大切です。幸せと思える行動をとりましょう。
まとめ
自己肯定感とは、自らが普段のままの飾らない自分を評価できる感情を言います。
自分の価値や存在意義を肯定できる人は、自己肯定感の高い人と言えます。
日本人は自己肯定感を上げにくい人種です。謙遜・謙虚・遠慮など一歩退いた態度を美徳と考えているため、自己肯定感は低いままです。
お子さんの自己肯定感を上げるには、『お子さんを愛する』『家族でコミュニケーションをとる』『お子さんをほめる』ことが大事です。
『自己肯定感』と間違える言葉に『自己効力感』があります。自己肯定感は「自分自身の存在そのもの」ですが、自己効力感は「自分自身の能力」に対する評価です。