普通の突っ張り棒じゃあなくて、家具の転倒防止用に作られた突っ張り棒があるんだよ。
令和6年1月1日16時16分、能登半島で大地震が起こりました。3方向を海に囲まれた半島と言うこともあって、道路寸断により救援も困難を極めました。
また、港は海底が隆起して、船が近づくことが出来ません。そんな特殊な、半島の大地震でした。
地震が起こる前に耐震のための転倒防止策を始めましょう。
耐震用、突っ張り棒による転倒防止法は家具や壁に傷はつけません。
地震に備える家具の転倒防止策には、いろんな方法がありますが、今回は、壁や床に傷をつけることなくできる転倒防止策をお知らせします。
そんな方には、突っ張り棒を利用した転倒防止を行ってみてはいかがでしょうか?
ステー金具や固定ベルトを利用した家具転倒防止策と比べればやや能力が劣りますが、転倒防止板や段ボール箱、粘着シートと組み合わせた転倒防止策であればよい効果が得られます。色々組み合わせることで転倒防止効果も高まります。
突っ張り棒にも色々な種類があります。長さ、大きさ、強さや「工」の字型、「日」の字型が有ります。現場に適したものをお選びください。同じ材料を使用していれば日型のほうが転倒防止効果はあります。
突っ張り棒の使用に適した部屋は、天井や床がしっかりした場所です。和室や天井の弱い所や畳部屋では、ひと工夫が必要です。
使う突っ張り棒は、耐震用に考えられたもので、漢字の日のような形とカタカナの工のような形をした種類があります。設置向きや設置場所は同じです。
突っ張り棒の有効な部屋
- マンションタイプの中で天井がコンクリート仕上げとなっている。
- 天井裏直上にしっかりとした梁が横たわっている。
- 床がフローリングとなっている。
- 家具の上部が強い板で覆われている。
天井がコンクリートで、床もフローリングのため、突っ張り棒の効果が大きく発揮されています。
突っ張り棒の不向きな部屋と改善策
天井裏に空間がある。(天井板が弱い)①
床面が和式である。(畳が使われている)②
家具の上部が弱い。③
家具を2段以上重ねている。④
①~③については板を設置して補強すること。
④については上段と下段を強いテープやシートで固定すること。
突っ張り棒の設置方法
設置場所は2か所以上、左右両側の後部壁面に近い場所に固定します。家具と突っ張り棒の接点が丈夫な場所を選んで設置してください。両端が良いでしょう。
下図のように天井と家具に突っ張り棒(工)を載せて、真ん中の棒をいっぱい伸ばして中央にあるネジを回して固定しますが、ネジの部分は強く回して、内側のパイプにネジを貫通させます。
(穴を開けるつもりで強く回す)購入した説明書をお読みください。
次に、芯棒下部に固定調整用ネジ部を回転させ強く固定します。突っ張り棒の向きは家具正面から見て、アルファベットのⅠのように設置します。
横から見ると工のように設置します。日の字型の突っ張り棒も同様に、正面からはアルファベットのⅠのように、横からは日の字に見えるように設置してください。
家具の転倒は、重心の関係から長辺側に倒れます(家具の前後)。後ろが壁の場合、前に倒れようとします。
突っ張り棒の向きが反対だと、下の図のように点(点に近い状態)で支えることとなる。
一方上の図では線で固定しているため倒れにくい。実際は長い面で支えています。
突っ張り棒の固定場所
右側の突っ張り棒は壁に近く設置しています。これが正しい固定場所です。
左側の突っ張り棒は壁から離れた位置に設置されています(朱の矢印をご覧ください。壁に近い状態と離れた状態を表しています)
家具の転倒は、重心の関係から長辺側に倒れます。後ろが壁の場合、前に倒れようとします。前へ倒れる場合、家具の後ろ部分が持ち上がります。
そこで家具の後部が持ち上がらないように後ろ側を突っ張り棒で押さえ付けます。
突っ張り棒の設置位置で転倒防止効果が違います。壁側に設置することで効果抜群です。
和室の転倒原因と防止策
図の〇で囲んだ部分は地震の揺れで一番力がかかる場所です。揺れに対して畳は家具で押され、突っ張り棒で天井と家具上部は押されます。そこで天井や家具の上部板がたわみ転倒が起こります(図1)。
図1)和室で使用する突っ張り棒の力のかかる場所を〇で示す。
上部の丸の部分に大きな力がかかるため、その部分を補強をすることで、転倒リスクを減らすことが出来ます(図2)。
黄色で表したように強い板を入れることで転倒防止効果があります。家具と板を接着することでより強くなります。また少し前面を長くすると効果がより上がります。
図2和室における転倒防止策である突っ張り棒の改善点
2段重ねの家具転倒防止策
2段重ねの家具は1段目と2段目の間からの転倒が考えられます。1段目と2段目が離れないような工夫が必要です。強い固定が必要ですが、側面全体にシートを貼ります。特に前面の強化が必要です。

2段重ねの倒れやすさと対処方法の良し悪し
突っ張り棒の低い家具に対する使用
突っ張り棒を使用する場合、低い家具への使用では、余り効果を発揮しません。突っ張り棒にかかる負担が増えて、転倒防止効果は少ないままです。(突っ張り棒が長いと効果が薄れる)
家具に対して突っ張り棒が短いタイプの使用が効果的です。低い家具には、そのほかの(転倒防止板や粘着マットを使用したり、少し大きめの補助板を家具の下に敷いて転倒を防ぎましょう。
低い家具に長い突っ張り棒は効果が低い。
低い家具には、もう一つ良い製品があります。『不動王』や『壁ツッパリ』などL字型固定器具という商品があります。本体を壁にくっつけ固定して突っ張り棒と同様に上から家具を押さえつける方法です。転倒防止板や粘着マットの併用使用で転倒を防ぎます。
まとめ
突っ張り棒の設置向きは、倒れる方向に踏ん張れるように長尺側にする。設置場所は、後面壁側とする。
マンションなどの天井と床がしっかりした場所が理想です。和室の場合、補強板を挟むことで転倒防止効果を上げることが出来ます。
積み重ねた家具の転倒防止は、重ねる家具が多くなると難しくなる。2段であれば、上段と下段を粘着シートやテープでの固定が必要です。特に前面を強く固定する必要があります。
3段重ねの家具は、転倒防止効果が少ないため、2段重ねまでとしましょう。
天井との距離がある(低い家具)家具の固定には、突っ張り棒は不向きです。他の固定方法を行う必要があります。