アンモニアは窒素と水素で出来ています。燃やしても二酸化炭素は発生しません。
- アンモニア燃料に興味を持つ方
- 水素発電に興味がある方
- 脱酸素に興味を持つ方
- カーボン ニュートラルを知りたい方
アンモニアとは
皆さん『アンモニア』と聞くと何を思い浮かべますか?私は『おしっこを畑の肥料として使用した』や『重量挙げ(ウエイトリフティング)の気付け薬』を思い浮かべますが、鼻にツーンときますよね。
実際体内で作られるアンモニアは肝臓で尿素に作り変えられ、体外に排出されます。体内では不要物質のため排出されるものですが、このアンモニアが地球を救うことが出来るかもしれません。
地球温暖化防止について
今、地球上で問題となっていることが、人類が排出し続けてきた温室効果ガスによる『地球温暖化』です。北極の氷は解けだし海面は上昇して住む場所が無くなったり、熱波や干ばつが続いています。
全世界のいたる所で自然火災が起こっています。ギリシャ、アメリカなどは大変な状況です。日本では大雨が続き、以前では考えられなかった気候変動による洪水が起きています。これも温暖化によるものです。
このままでは、私たち人間だけでなく地球上に住むすべての動植物が生きていけなくなります。その危機が目の前までやってきています。
この危機を回避するために、二酸化炭素を減らす『脱炭素』に向けた協定が2015年にパリで結ばれました。
現在使用されている化石燃料を使用し続けていれば、二酸化炭素をゼロにはできません。
現在一番良い燃料は水素を使用することです。水素を燃やしても二酸化炭素は発生しません。発生するのは水だけですので、優れた燃料といえます。水素は地球上では単体として存在していません。他のものとくっ付いて存在しています。
そのくっ付いた物質から水素を取り出さなければなりません。その取り出し方には色々あります。
化石燃料から作る方法や水から作る方法、その他の方法としてエタノール、メタノールの改質という方法があります。
アンモニアの役割
水素の精製は、多くは天然ガスや石油から作られていますが、作る過程で二酸化炭素を発生したり、生成するために使用されるエネルギーが二酸化炭素を発生させていれば本末転倒です。それを解決する方法がアンモニアの利用です。
水素にはもう一つ解決しなければならない問題があります。それは、取り扱いが難しい点です。その取り扱いが難しい水素に変わってアンモニアを利用しようと考えられています。
①、アンモニアは窒素と水素の化合物で、燃やしても二酸化炭素は排出されません。そのため水素の代わりにアンモニアを燃料として使用することです。
最初は化石燃料にアンモニアを混ぜて使用します。現在実証試験として進められている方法が、石炭火力に20%アンモニアを混ぜて燃やす方法です。20%混ぜて燃やすことで約4000万トンの二酸化炭素排出を減らすことが出来ます。
徐々にアンモニアの比率を増やして最終的にアンモニアを燃やしてエネルギーを作ろうと考えています。そうなれば2億トンもの二酸化炭素排出削減が可能となります。
②、水素を安全に運ぶために利用しようとするものです。アンモニアは世界中で年間2億トン近く生産されており、製造や輸送、貯蔵の方法は確立されています。その既存の設備やノウハウを利用するものです。
しかし問題が一つあります。実際にアンモニアを燃料として使用する場合、製造される量が2億トンでは全く足りないということです。増産する必要があるのですが、増産過程で二酸化炭素が発生してしまいます。その処理方法として『二酸化炭素の処理として地下に貯留する方法』や『二酸化炭素を再利用するカーボンリサイクル』があります。
アンモニアのサプライチェーンについて
アンモニアの製造や輸送、貯蔵の方法は確立されてその既存の設備やノウハウの利用は問題ないのですが、実際に火力発電でアンモニアの専焼が行われる際には、製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売、消費までの全体の一連の流れを再構築する必要があります。