近年、特に発想力、創造的思考の必要性がいろんな場所・場面で語られるようになってきました。いったいその理由は何なのでしょうか?
その必要性とは何か?、その鍛え方は?鍛える時期は?などについてもう一度考えてみたいと思います。先ずは、発想力、創造力の意味について調べてみました。
発想力とは? 創造力とは?
発想力と創造力は同じ意味を持つ言葉ですが、創造力は発想力を一歩先へ進めた意味が含まれています。
発想力は『何かを思いつき、新しいものを考え出す力』のことですが、実際に作り出すところまでを表した言葉ではありません。
創造力とは、発想したことを行動できる能力や作り出す能力のことを言います。
創造的思考の重要性を再認識
以前から創造的思考の重要性は、認識されていました。それが再認識されるようになったのが、2006年に経済産業省が提唱した『社会人基礎力』です。
若者がスムーズに就職をして、社会で活躍できるようになることを目的としています。その後に出されたのが『人生100年時代の社会人基礎力』です。
若者のみならずシニア層までを対象としたのがこの人生100年時代の社会人基礎力です。
社会人基礎力と創造力
社会人基礎力は、3つの能力と12の能力要素から構成されています。
3つの能力の中の『考え抜く力』にある能力要素の重要要素が『創造力』です。
日本人が一番苦手としていて、学校教育でも鍛えることが難しいとされているのが『創造的思考力』です。
『自らが問題提起し解決策として、自らが新たな仕事を生み出そうとする考える力』つまり創造的思考力の重要性を発信しています。
創造的思考の重要性
近年、コンピューターの進化により、人工知能(AI)は、大きな発展を遂げています。
現在の人工知能(AI)は非常に優れており、どんなことでも人工知能(AI)で可能になりつつありますが、特に、規則性のある課題や論理的に積み重ねていく課題などは、人工知能(AI)には、かないません。
数年前までは、人間と人工知能(AI)が対戦する『将棋』『囲碁』『チェス』などのニュースが話題となっていましたが、現在では、全く太刀打ちできません。
何万通りもある中から次の一手を瞬時に導き出す人工知能(AI)は凄いの一言です。
身近なところで言えば、スーパーのレジやコンビニのレジでも無人化が進められています。
以前主流だった店員によるレジ打ちから客自身がバーコードを読み取らせたり、商品の入ったかごを指定された場所へ置くだけで、瞬時に合計金額が表示されるなど、無人の店舗も増えています。
今まで人間がやっていた仕事を機械やロボットが行うようになりました。『ミスがなく、仕事も早い、その上文句も言わない』企業が見逃すはずのない労働力です。
今後もこの傾向は広がり、これまで機械化・自動化は難しいと言われていた業務の機械化も多く誕生しています。2030年までに今ある仕事のうち3割が自動化されると言われています。
そんな人工知能(AI)ですが、苦手な分野もあります。それが発想したり、創造したりすることです。
この分野は人間である我々が担っていく必要があります。言い換えれば、この分野で生きていくしかありません。
発想力と創造的思考を備えた学生
例えば、大学などで難しい課題が出された場合、過去の事例を参考にして解決策を導きだしますが、発想力や創造力が乏しい学生は、良い案が浮かばなければ『できない』と判断してしまいます。
しかし、発想力や創造力の豊かな学生であれば『できない』と言う結論ではなくどうすればできるだろうか?
『ああでもない・こうでもない』と考えを巡らせ、違う方向からアプローチするなど『こうすればできる』を導き出します。
今までにない独創的なものや、非現実的で今の科学では難しいものなど、諦めないで考えることができます。
では、この差はいったいどうして出来るのでしょうか?生まれた時には、どの子供も大差がないようです。
生活環境や教育が影響するようです。親御さんの子育ての仕方や遊びを選ぶことなどで大きく伸ばすことができるのがこの能力です。
企業が必要とする創造的思考力とは?
企業が求める人材とは、企業が抱える難題に取り組む姿勢と常識にとらわれない革新的な発想や工夫を生み出すことができる人材です。
新しい『仕事』や『価値』を生み出す力、つまり、創造的思考力と協調性を兼ね備えた人材を求めています。
協調性を備えた人物は多くても創造的思考力を備えた人材は少ないのが現実です。
発想力と創造的思考力を鍛える
大人になってからでも鍛えられる能力ですが、より柔軟な発想を得るには、小さな子供の頃の遊びだったり、訓練することでより大きく伸ばすことができます。
大人の発想は、実現可能かどうかなど発想が限定されてしまいます。
子供の発想
子供は発想力・想像力が豊かだな〜と思わされることがよくあります。
空を見上げ、雲の形から『ソフトクリーム』だ、『ぞーさん』だ『ぞうさんが寝ころんだ』などとはしゃいだりします。大人が見てもそのように見えないものが子供には見えます。子供には、どんどん変化するものが見えます。
積み木を使った街づくりでも、大人のような町は作りません。大人は、既成概念に捕らわれ、発想が少ない普通の町を作ってしまいますが、子供は奇妙で『これが町?』と言うものができあがります。
そしてこの街が空を飛んだりします。この新しい発想が未来には必要です。
学校教育では、難しい創造的思考
現在の学校教育は多くの生徒に対して決められた時間内に教育課程(カリキュラム)を終わらせなければなりません。
図画・工作、家庭科などのものづくり教科はありますが描くもの、作るものは決まっており製作時間も細かく決められ、時間内にできない場合は家庭に持ち帰って作成することになります。
1つの教科に多くの時間を割くことは難しく、成績を付けることが難しい教科は学校教育には、不向きでした。
遊びの中で創造力、発想力を育む
スマホやテレビゲームは、お子さんの発想力、創造する力を育むためのものではありません。
使い方が決まったオモチャは発想力や創造力を育てることが難い遊びと言えます。
ゲーム内容に沿った進行方法で、ルール内で動くことしかできません。違う発想をしたり、進んだりできません。
昔からある定番の遊び
その点、積み木や砂遊び、ねんど遊び、折り紙、あやとり、切り絵、お絵かきなどは、自由度が高く発想力、創造力を鍛えるにはうってつけな遊びです。
無から有、ゼロから1を作り(生み)出すことができる遊びが大切です。
先ずは、親もいっしょに楽しむ
『さあ、ここで自由に遊びなさい』ではなく、家族全員で楽しみましょう。みんなで楽しく協力しあって何かを作りましょう。
親御さんが率先して取り組むことでお子さんも躊躇なく遊ぶことが出来ます。またお父さん、お母さんが楽しんでることでお子さんも安心して続けることができます。
親御さんの力を借りないで、お子さん一人で遊ぶ時間も作ってあげましょう。時には時間制限を設けないで遊ぶことも必要です。
コミュニケーション力を付ける
お子さんが作り上げたものに対しては評価してあげましょう。評価といっても褒めることが中心です。
できたものを褒めるだけでなく頑張った過程を褒めることが大切です。子育ての褒めかたです。
お子さんの作成したものに対して、お子さんと話すことも大切です。作るのに苦労した点、見てほしい点などお子さんと話をしましょう。お子さんのコミュニケーション力も重要です。
何事も不思議に思う
我々凡人は、教師や上司などの言うことに対して納得してしまうところがありますが、どんなことに対しても疑問に思うことが大切です。
そしてその疑問点を解ろうとする努力を惜しんではいけません。疑問点を見つけ自ら調べる訓練をさせましょう。
自宅の居間には、図鑑や書物を置いて疑問点は調べさせましょう。スマホで調べるより図鑑や書物の方が調べることに専念できます。調べることが習慣になれば、自然と机に向かう時間も増えます。
『なぜ、どうして』を大切に
お子さんは2歳頃『なぜ、どうして』などと何回も何回も繰り返し聞きます。可愛いお子さんですが、回数が多くて、ついつい適当に答えたり、忙しいことを理由に後でねと逃げたりしてしまいます。
お子さんの意欲を削いでいることになりますので、この『なぜ、どうして』を大切にしましょう。
親御さんが毎回丁寧に答えてあげることで、勉強好きにも好奇心旺盛で考える子供にもなります。
いろいろなことを経験させる
人間誰でも経験したこと、見たこと、聞いたこと、調べて知ったことなど出会ったことが未来に生かされます。
知らないものから発想を膨らますることはできません。お子さんには、多くのことを経験させましょう。
美術館や博物館見学、スキー、スケート、海水浴、山登りなど子供が出来ること何でも経験させましょう。海外や過去のことやものは図鑑や書物で教えましょう。
親御さんのすること
先ずは、環境作りです。お子さんの遊び場を用意しましょう。汚してもよい場所やねんど、砂場、絵具、クレヨン、大きなキャンバスなどの使用するものを用意しましょう。
お子さんが作ったものや、頑張ったことを褒めてあげましょう。また、作成したものに対する自分の意見や出来具合を聞くなどコミュニケーションをとりましょう。
時間が許す限りお子さんと出掛けましょう。海外旅行が出来ればいろいろな名所旧跡やリゾート、国内旅行でもOKです。近くの動物園や博物館・美術館など体験や見学しましょう。
最後に
仕事をしたくてもできない時代が近づいています。人工知能(AI)の発達によりどんどん仕事が減っています。
言うまでもなく、人工知能(AI)に奪われています。2030年には、仕事の3悪口が人工知能に奪われます。
優れた人工知能ですが、発想する力や創造する力はまだ開発出来ていないことです。よって子供の頃からこの分野を鍛えることにより、未来は拓けます。
子育て中のお母さん、妊娠中のお母さん、発想力や創造力は、教えても鍛えることが難しい力ですが、遊びの中で鍛えることができます。
親御さんのすることは、遊び場と遊び道具、遊ぶ時間の確保です。全てをたっぷり取り、思う存分遊ばせましょう。
ねんど遊びや砂遊び、お絵かきなども良い遊びですが、テレビゲームやスマホゲーム、画一的なオモチャの遊びは避けましょう。