地震による転倒防止

地震災害から身を守る方法を探る。(総論)

地震災害から身を守る

事前に一人ひとりが自分の出来る防災対策を講ずれば被害は小さくなる

今日、台風2号が日本の太平洋側を通過した際、線状降水帯が現れ、東海に大雨を降らせました。多くの地域で甚大な被害が報告されています。今回のように台風はこれから多く増えち来ます。十分な備えをしましょう。令和5年6月2~3日

令和6年1月1日16時16分に能登半島でも大地震が起きました。3月現在、人的被害1,500名以上、住宅被害81,717棟(全壊8,000棟、半壊13,000棟、一部破損60000棟)が報告されました。

地震は怖いですよね。ニュースでは、ここ何年かの間に東海・東南海地震がやってくると言われてますよね。今回(2022年3月12日)東北太平洋側で大きな地震がありました。震度6強の強い地震です。

地震は止められないけど、事前に一人ひとりが自分の出来る防災対策を講ずれば災害は小さくなります。

地震事前に行う災害シミュレーションは被害を小さくする。

日本列島の地盤の弱さ

5億年前の地球は一つの大陸から出来ておりその名を『ゴンドワナ大陸』といいます。

現在のアフリカ大陸、ユーラシア大陸、アメリカ大陸、オーストラリア大陸、南極大陸がくっ付いていました。

そのくっ付いていた大陸が現在のように別々の大陸になった訳は、ご存じのように地面が動いているからです。

各大陸は地球を覆った岩盤(プレート)の上に乗っていてそのプレートの移動により現在の状態になっています。

日本列島の近くには、ユーラシアプレート、太平洋プレート、北米プレート、フィリピン海プレートが存在しています。

これらのプレートのぶつかりや沈み込みにより地震が起きます。世界中には10枚のプレートが存在していますが、その中の4枚のプレートが日本の近くにあります。

こんな地盤の弱い日本ですから、地震を減らすことはできませんが、地震による被害は小さくできます。

地震から建物を守る

地震から建物を守ることで一番大事なことは、地震の揺れを建物に伝えないことです。

建物をバルーン等で20㎝、いや10㎝でも浮かせることが出来れば、地震は怖くありません。

しかしそんなことはでないので、極力揺れを建物に伝えないようにします。その方法として地震の横揺れを吸収するゴムの塊の上に建物を建てます。この工法が【免振】工法です。

次に地震の揺れに対して反対の揺れを起こして、揺れを小さくします。高い建物で有効とされている方法が【制震】です。壁の筋交いの代わりに制震する装置もあります。

もう一つの方法として行われていることが、耐震です。コンクリートで地盤を強化したり、柱を鉄骨に変えたり、壁に筋交いを入れたりして、揺れに耐える構造にすることを言います。

免振、制震、耐震といろいろな工法がありますが、この方法を取り入れるためには、建物を立て直したり、大金をかけて整備する必要があります。

今回の記事では、建物に関する工法ではなく、身を守る方法を紹介します。

地震災害から身を守る(序論)

地震の多い日本は、何回も大きな地震被害にあっています。20年以内にやって来ると言われる東海・東南海地震が心配でなりません。

過去の大きな地震を経験された方々が口々に「揺れが凄くて、テレビが私を飛び越えた」「クローゼットが倒れてきてドアが開かなくなった」「ガラスが割れてフローリングが歩けなかった」など家具の転倒により被害が大きくなると話してみえます。

地震災害の場合、揺れによる被害のみならず、その後の火災による被害は深刻です。

特に火災は延焼の恐れがあるので、ガスや火の元には注意が必要ですが、もっと大切なことは、避難することです。

過去には『ぐらっと来たら、火の始末』と口癖のように言われましたが、現在では先ず避難することを第一としています。

野外への避難を想定した場合、通路確保のためにドアの傍や避難経路には、倒れやすい家具は置かない。やむを得ない場合は、転倒防止策を講じる必要があります。

又は通路側には倒れないような工夫をしましょう。集合住宅では、屋外へ出る経路(距離)は長く危険個所も多くなります。

深夜の停電時には、特に注意が必要です。真っ暗な状態での行動を余儀なくされるので、就寝時には、スマホや懐中電灯を枕元に置きましょう。

もうひとつフローリングのガラス片対策として、スリッパや靴などの履き物を用意しておきましょう。

2階に寝室がある方は、階段に光るテープを張ることによって安全に階段を降りることが出来ます。

また集合住宅にお住まいの方は、野外への通路に光るテープや光る塗料で道しるべも良い方法です。

光るテープには、蓄光(燐光)テープ、発光(夜光)テープ、反射テープがあります。

暗闇を明るくするテープ
夜中の地震や停電時の避難通路に光るテープを用いる。 避難時のために通路に物を置かず、光るテープで道しるべ。真夜中、地震、停電で避難することが難しい真っ暗な状況でも蓄光テープ・塗料がありば避難経路を光らせて安全に避難させることが出来る。...
  • 蓄光(燐光)とは、光を蓄積しておいて暗くなってから光る物質です。
  • 発光(夜光)とは、自らが光を出して光る物質です。放射性物質が使われているため現在は使用していません。
  • 反射とは、光源があってその光が反射して光る物質のことです

蓄光テープを一部業界では、PLCテープと呼びます。PhotoLuminesCenceの略です。日本語ではホト ルミネッセンスと言います。エルティ-アイ株式会社

PhotoLuminesCence:物質が外部から光のエネルギーを吸収して励起され、元に戻るときに発光する現象です。  (LTI)エルティ-アイ株式会社

家具の転倒防止策

今回筆者が提案する転倒防止策は、大地震が収まるまでの、完全な家具の転倒防止策ではありません。数十秒間、家具が転倒しないようにする対策です。

貴方が地震に気付きその危険な場所(家具の近くやテレビの近く)から離れるための時間を稼ぐための転倒防止策です。その逃げるまでの数十秒間稼げればよいのです。

頑丈な固定をするために大切なお金を掛ける必要はありません。

お金に余裕がある家庭は、丈夫な器具を使用してしっかりとした転倒防止を行ってください。それが理想の転倒防止策です。

次に、個別の家具転倒防止策を考えましょう。転倒防止策には、いろいろありますが、しっかりとした固定方法として、ステー金具固定ベルト固定ロープを使用する方法が有ります。

壁や柱、床と家具本体をねじ止め固定するため、強力な固定が出来ます。

その他に災害用突っ張り棒転倒防止板耐震粘着マット(ジェル)段ボール箱による固定などがあります。

ステー金具、固定ベルトなどの転倒防止

ステー金具とは?固定ベルト・固定ロープとは?

ステー金具とは、金属の板を家具と壁や柱にネジ釘で固定するものです。

ステー金具には、Lの字、コの字、Ⅰの字など色々あります。

固定ベルトや固定ロープとは、ステー金具と同様に家具と壁、柱にネジ釘で固定するベルトやロープです。

筆者宅は賃貸住宅でマンションタイプのためコンクリート製の柱や壁です。そのためステー金具は使用できません。

ステー金属6個

ステー金具にはいろいろありますが、写真はI 字とL字ステー金具です。

ステー金具・固定ベルト・固定ロープには多くの種類といろいろな強度の物が存在します。

軽い家具に頑固な金具やベルトを使う必要はありません。反対に重い家具に短いネジ釘、細いロープでは、意味がありません。用途に合ったものを選ぶ必要があります

避難通路は命を守る道です。通路を塞ぐ恐れのある家具はステー金具・固定ベルト・固定ロープを利用して、しっかり家具の転倒がないようにしましょう。(避難経路は、十分な転倒防止策や物を置かないようにしましょう。)

ステー金具・固定ベルト・固定ロープ以外にもいろんな種類の転倒防止器具がありますが、ステー金具など柱や壁への固定は転倒防止効果が高い方法です

柱や床にしっかり固定できれば転倒することが少ない固定方法ですが、柱や壁、家具本体に傷や穴などを開けることになります。

市販のステー金具・固定ベルト・固定ロープは地震の揺れで切断することは無いのですが、固定するネジや釘と壁や床の素材により固定部分が剥がれ転倒することもあります。

ステー金具やベルトなどのデメリット

上記にも書きましたが、家具や壁、柱にネジ止めをするため 、キズや穴を空けてしまいます。

持ち家であれば良いのですが、賃貸物件の場合、後々修理にお金がかかります。

強力な転倒防止策
家具の転倒防止には、これが一番それが、ステー金具です。地震による転倒防止を防ぐためにはステー金具が一番効果がある。新築や賃貸住宅では難しいが壁ツッパリや不動王で転倒防止を行おう。...

他の転倒防止器具

賃貸物件や新築によりキズを付けたくない場合は他の方法があります。ステー金具より転倒防止効果は劣るのですが、組み合わせにより効果を上げることができます。

突っ張り棒転倒防止板耐震粘着マット(ジェル)段ボール箱を使って家具を固定するのも良い方法です。

家具や壁、柱には傷を付けません。段ボール箱や家具転倒防止板、耐震粘着マット(ジェル)は安価にできる転倒防止策です。

あくまでも逃げるための時間稼ぎです。

突っ張り棒を使用した食器棚の転倒防止

突っ張り棒は設置する場所により転倒防止効果が違ってきますので、説明書をよく読み設置してください。

突っ張り棒とは?(災害用)

天井と家具の間に入れて固定をする器具です。地震防災グッズとしてお店に置いてありますが、結構いい値段です。

また天井や家具の上板の状態にもよりますので、購入前にしっかり確認してください。

下記画像は、筆者宅の食器棚の突っ張り棒です。天井もフローリングもしっかりしており、突っ張り棒には最適な環境です。

食器棚の突っ張り棒

転倒防止板も同時に使用することで転倒防止効果は増します。

メーカーが販売している突っ張り棒は「工の字型日の字型」があります。

マンション住まい(天井がコンクリート)であれば問題ありませんが、和風住宅では、もう一工夫必要です。突っ張り棒については、違う記事で詳しく説明します。

突っ張り棒の威力
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食器棚に使用した転倒防止板

転倒防止板は自作することもできますが、柔らかいものでは効果が半減しますので、ある程度の固さを要します。

ベニヤなどを使用する場合は、家具の長尺全体に入れることでより倒れにくくなります。

家具転倒防止板とは?

転倒防止板はテーパー加工を施した板に勾配を付けた板のことです。この板を家具前面に入れることにより重心が壁がわに移り倒れ難くなります。

左右に転倒防止板を設置することで、転倒防止効果が増加します。長い転倒防止板を利用して家具全体に敷くことにより効果は増します。

転倒防止板

段ボールによる転倒防止策

段ボール箱も転倒防止には有用ですオーダーメイドによる段ボール固定具もありますが、お金を掛けないで転倒防止が出来ます。

段ボール箱を突っ張り棒と同様に天井と家具の間に置いて転倒を防止します。

出来るだけ同じ大きさの箱を揃え、隙間の無いように設置することが大切です。

防止策を組み合わせることで、転倒確率を抑えることが出来ます。

突っ張り棒を設置し空きスペースに段ボールの箱を設置したり、床部分には転倒防止板を入れるなど複合で転倒防止が出来ます。

また背丈の低い家具や固定の難しいパソコンなどは、耐震粘着マット(ジェル)が有効です。

お金をかけなくても段ボール箱を使って家具の転倒防止。ステー金具による転倒防止は、『ちょっと』とする方にお勧め。段ボールによる転倒防止策転倒防止板や粘着マットと複合で転倒効果アップ。...

耐震粘着マット(ジェル)とは?

耐震粘着マットは、粘着性のあるやわらかいマットです。ブルーや透明のものがあります。

フローリングや小さな家具やパソコン、テレビなど背の低い家具を固定するために有用です。

粘着マットは水洗いすることで何度も使用できます。ある程度厚みがあるほうが固定する力は強くなります。

液晶テレビに粘着マット

テレビ本体の脚の部分に粘着マットを敷くことにより、地震の揺れに耐えることができます。

脚全体にマットを敷くことにより強い揺れにも耐えられます。高価なパソコン、テレビには付けたい転倒防止策です。

扉の鍵(止め金)飛散防止シートとは?

扉の鍵は、扉が開いて中のものの落下を防ぎます。飛散防止シートは字のごとくガラスが割れることを防ぐためではなく散らばることを防ぐために利用します。

飛散防止のためには、扉の前面に張ることで飛散防止できます。

扉に鍵(止め金)を付けることで食器の破損を少なくできますが、ガラスの破損を守ることが難しいので飛散防止シートが必要となります

食器棚の扉に鍵その他の災害対策(鍵と飛散防止シート)

家具は前面に扉や引き出しがついており、地震の揺れに対しドアが開いたり引き出しが飛び出したりすることがあります。

また、食器棚には、扉にガラスが使用されておりそのガラスの破損防止も大切です。

扉や引き出しに鍵を取り付けることで、食器や内容物の落下を防ぐことができます。

落下では、食器や貴金属の破損の恐れもでてきます。地震の大小に関係なく扉や引き出しの固定をすれば、落下は防げます。

食器棚など扉に付いたガラスの破損は床に飛散する恐れがあります。それを防ぐ方法として、ガラスに飛散防止シートを張ることをお勧めします。

鍵と飛散防止シートを付けることで、床へのガラス片や陶器片の飛散を抑え、避難通路を使用可能にします。

現在、新築やマンション購入をお考えの場合、避難導線に物を置かなくて良い設計や据え付け家具を選ぶなど、地震に備えてください。

耐震や免震住宅でも食器棚の中にある品物は壊れる可能性がありますので落下防止策を講じてください。

非常用持ち出し品の用意

上記では災害時の対応として、家具の転倒防止方法や夜中の避難方法など、身を守る方法について記載してきましたが、大きな地震災害では、自宅の崩壊やインフラの障害など生活がままならないことがあります。

そこで非常食や保存食など、非常用持ち出し品の整備も忘れないでください。

避難所などでの長期化も想定して、充電器や発電機の備えも必要ではないでしょうか?

非常用物質

まとめ

ここ何年かの間に東海・東南海地震は必ずやってきます。その前に命を守る行動を起こしましょう。お金に余裕がある方は万全な転倒防止を行ってください。

しかしお金に余裕のない方、特に年金暮らしのお年寄りは、家具の配置やあまりお金のかからない転倒防止を行いましょう。地震に最後まで耐える固定をする必要はありません。

しっかり完全な固定ができればそれに越したことはありませんが、数十秒間耐えられる固定でも身は守れます。

逃げ道が塞がれないような家具の配置と家具の下敷きにならないよう数十秒間の猶予を確保してください。

ステー金具・固定ベルト・固定ロープによる固定、突っ張り棒、転倒防止板、粘着マット(ジェル)、段ボールなど組み合わせた転倒防止など、寝室には転倒し易い家具は置かない。置く場合は設置向きを考えましょう。

食器棚のようなガラス扉や引き出しが付いた家具には、解放防止用の鍵(止め金)やガラス飛散防止用シートを張りましょう。

起きてしまった地震災害ですが、災害後でも生活が続きます。非常食・保存食の用意、水の確保など忘れないでください。

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