人間の成長プログラムの中にも『見守りと自立』は入っています。他の動物に比べて一番遅いのが人間の自立です。
このプログラムの自立が上手く起動するかどうかは親にかかっています。成功の秘訣は親が正しく見守りを実行することです。
親の見守りが子の自立を促す
何も出来ない赤ちゃんの頃と自分で出来る幼児期以降とでは、お母さんの考え方を変える必要があります。
新生児や乳児の頃は、1〜10まですべてお母さんがやってあげていましたが、成長と共にその割合は減っていきます。
最初は泣くばかりで、お母さんが察してあげなければなりませんが言葉を覚えれば『お腹が空いたよ、お腹が痛いよ、◯◯してよ』など言葉で伝えるようになります。
時には、自分でやってみたいとせがむこともあります。
『僕(私)にもやらせて!』 できなくても親は見守る
”時間が迫ってくる”とか”友人を待たせないように”といった配慮から親御さんが先に済ませたり、手伝うことがありますが、自立のためには邪魔な行為です。
時間に余裕を持たせ、お子さんががんばってる姿を見守りましょう。
親御さんのやり方を毎回見ているお子さんには、好奇心が沸いてきて、僕(私)もやってみたいとワクワクします。この時が覚える絶好期です。
例えば、お着替えの時など、いつもはやって貰ってるボタン止め、毎回見ているのですが、やってみると、独りでは上手くいきません。
そんな時は一度、教えましょう。最初の頃は上手くいきませんが、見守りましょう。
お子さんは、イライラしたり癇癪(かんしゃく)を起こしたりしますが、それが普通で変わった行動ではありません。
お母さんは子どもの成長の邪魔をしないように少しずつ見守る時間をを増やしていきましょう。
質問 1 母親の心配(子供の学校生活)
私は心配性で、子どもが小学校へ入学すると、心配事がいっぱいで時々胃が痛くなります。忘れ物はないか?友だちと仲良く出来るか?心配です。
時々ですが、忘れ物を持って追っかけたり、学校へ持っていきます。また、登下校の交通事故なども心配です。
専門家の意見
見守りは難しい面もあります。特に心配性のお母さんは大変です。心配のし過ぎによる手助け行為が心配を大きくします。
乱暴な言い方ですが、忘れ物を届ける必要はありません。一度や二度の忘れ物は問題有りませんし、痛い目に遭うことで、治るきっかけになります。
交通事故や不審者の心配は、全ての親御さんが多かれ少なかれ心配されています。
しかし、心配しながらも『うちの子は大丈夫』と言い切れる親御さんもおみえになります。
そのような親御さんの自信は何処から出てくるのでしょうか?それはお子さんとの信頼関係が出来ているからです。
毎日の生活で、交通安全について話し合ったり、不審者に声をかけられた時の対応を約束事として徹底させています。
お子さんとの強い信頼関係が出来ていれば、『この子は大丈夫』と安心できます。
質問 2 親の経験を伝える
子どもの頃に自分が犯した失敗を子供には経験させないように事前に教えてきたつもりだった。これは正しいことだと確信していた。
失敗をしないように教えることは良いことだと思っていた。
専門家の意見
そう考える親御さんも多いようです。子どもは実際に失敗したり、苦労することで覚えることができます。
親が先回りしてやることで【経験できないこと】と、子どもが【親に任せてしまう(やる気をなくす)こと】が一番心配です。
昔の家庭はお子さんの人数は多く、金銭的にも楽な暮らしが難しかったことから、お子さんにかけるお金も時間も足りませんでしたが、現在は独りに多くの時間とお金をかけることができるため、お母さんの世話焼きが過ぎる傾向があります。
過保護気味のお母さんや完璧な子育てを目指すお母さんは、見守りが苦手です。『私もその傾向がある』とお考えのお母さんは要注意です。
自立を成功させるために お母さんは、ほかに楽しみを見つける
最初は近くにいてお子さんを見守りましょう。一緒に遊んだり、読書したりしてお子さんを観察しましょう。徐々に離れて独りで遊ぶことも大切です。
手伝いたい気持ちを押さえてお子さんの行動(失敗)を見守りましょう。またお子さんと距離をとるために、お母さん自身が楽しみをみつけましょう。
お子さんが幼稚園や小学校に行くようになったらお母さんは趣味に力を入れましょう。スポーツであれば健康維持につながります。
心配性なお母さんや過保護・過干渉ではないかと考えるお母さんは、特に子育て以外に目を向けましょう。趣味以外にパート仕事で、子育てを忘れましょう!
見守りには 親と子の信頼関係が大切
『見守る』とは、無事であることを確かめながら見ることです。
遊び場や砂場では周りに危険が無いことを確かめながら見続けることです。親子の間に固い信頼関係が出来ていれば、見守る度合いを減らすことが可能となります。
『危険な場所には近づかない』『悪いと思うことには手を出さない』『知らない人についていかない』など親子で約束事を作って、日頃から確認しておきましょう。
子供がこの約束を守ることで、親の安心も広がり見守りも楽になります。
信頼関係を築く方法
親御さんが見守りを成功させるには、お子さんとの信頼関係ができていることが大切です。その必要な信頼関係を築く方法を下記に示します。
普段の行動が 信頼関係を高める
子供は、親の行動や仕草をよく観察しています。お母さんの口癖が娘さんと同じだったり、息子さんの仕草がお父さんとそっくりだったり。良いことも悪いことも真似したり、似たりしてきます。
よって、お子さんの前ではルールは守りましょう。例えば、車が来ないからといって赤信号では横断しない。横断歩道の無いところを渡ったりしない。(お子さんが親御さんの行動を良しとした場合、信号無視や違反をまねることになります)
お子さんの手本となっていれば、お子さんとの信頼関係が構築できていると言えます。
お子さんをどれだけ信じることが出来るか?お子さんを信じれるように育ててきたかが大事です。
毎日の生活の中で、お子さんとコミュニケーションをとり、お子さんの話は家事仕事の手を止めて傾聴しましょう。
親御さんに話を聞いて貰ってると思うことが大切です。お子さんが親御さんを信頼出来ていれば親御さんの意見は聞き入れてくれます。
嘘でも『信じる』を繰り返す
親子の信頼関係は、積み重ねです。お子さんのことは全て信じる努力をすることが大切です。
子どもがつく、見え見えの嘘でも信じてあげましょう。これを繰り返すことで信頼関係を築くことが出来ます。
お子さんは、嘘に対してお母さんが解っていながら信じてくれたことを理解していますので徐々に嘘は減ってきます。
親御さんに信じて貰えなかったときのダメージは大きなものがあります。
親御さんも 約束は守る
親子の間でも約束は守ること。お子さんと遊ぶ約束や旅行、遊園地へ行く約束は必ず守りましょう。
親御さんや大きなお子さんは、仕事の事情や大人の事情は解ってくれますが、小さなお子さんは理解できませんので、信頼関係を構築するために、極力約束は守りましょう。
楽しみにしているイベントは特に気を付けましょう。何回も約束を破ってはいけませんが、謝るときは真剣に『ごめんね』と心から謝罪しましょう。
スキンシップは親子の信頼を深める‼
スキンシップをくり返すことで親子の信頼や愛情を深める作用を持っています。
ハグや抱っこ、ギューをしてもらったお子さんは、温かい記憶として脳に刻まれ、その後の生活に良好な影響があります。
最後に
人間には、他の動物と違ってきめ細やかな育児が必要であり、自立には時間がかかります。
よって、その多くの時間が深い愛情を生み、人間世界を発展させてきました。
反対に、親の深い愛が子供の自立を遅らせる恐れもあります。その愛は過剰だと言うことに気づいてください。
子供が体を使って覚えることは、やってみないと覚えることが出来ません。
親は迷わず子供の自立のために見守りに徹することを考えて欲しいものです。