『これからは非認知能力が重要』テレビから聞こえてきます。
近年よく使われる言葉に『非認知能力』という言葉がありますが、この言葉は『認知能力以外の能力』のことを意味しています。
認知能力とは知能検査で測定できる能力のことを言い、知能指数や学力、記憶力などを言います。
『非認知能力』とは人間力と言われることもありますが、自分に関する自尊心、自己肯定感、自立心、自制心、自信と社会性に関する協調性、共感力、社交性、道徳性などを言います。
- 認知能力と非認知能力について知りたい。
- 自己肯定感+非認知能力をお子さんに付けたい。
- 子育てには、非認知能力が大切と考える方。
『非認知能力』に世界が注目
この非認知能力が世界的に注目され始めたのが、1960年から継続的に行われた『ペリー・プレスクール・プロジェクト』と言う社会実験です。
これにより『認知能力以外の力』が働いた結果として認知能力が上昇したことで認知能力以外の能力として『非認知能力』が注目され始めました。
『ペリー・プレスクール・プロジェクト』とは❓️
プロジェクトに参加した123人は、貧困家庭でIQが70~85、少人数教育で毎日の勉強と家庭訪問を繰り返して学んだグループとプロジェクトに参加していないグループとを比較しました。
プロジェクトに参加した子供たちのその後は、高校、大学を卒業して順風満帆な人生を送る子供が多かったようです。
プロジェクトに参加した子供たちのIQ・学力テストは上がりますが、一時的なもので、数年経過すると教育を受けていない子供たちと大差が無くなってしまいました。小さい頃の認知能力は継続しないことが確認されました。
プロジェクトに参加したことで、非認知能力が向上することも証明されました。
プロジェクトに参加して、勉学を頑張ったためその後は順風満帆な生活が送れたように考えられますが、10歳頃のIQでは、両グループに大差なかったようです。
とすれば、勉学(認知能力)以外に何かが作用して、人生の成功を得たと考えられたのです。
それが何かという疑問がわいてきますが、それは認知できない能力のことです。それが『非認知的能力』と呼ばれるようになりました。
こんな経験はありませんか?
小学校・中学校時代の同級生で成績はイマイチだったんですが、久し振りの同窓会で顔を会わせたら、凄く羽振りが良かったり、事業に成功したなど見違えたこと有りませんか?
私の場合、そんな子は『人と話すことが好き』だったり、どんなことも『やりたがり』『負けることが嫌い』など特徴があったような気がします。社長の息子でないのにと感心したものです。
何故『非認知能力』が日本で注目される?
非認知能力は人間力と言われることもあり、お子さんの成長には欠かせないものです。
その上、2020年度から始まった新学習指導要領に『学びに向かう力、人間力』が含まれるため、関心が高まってきました。
日本でも『読み・書き・そろばん』が重要と考えられてきましたが、土台となる人間力を身に付ける事の重要性が論じられるようになりました。
先ずは自己肯定感+非認知能力
内閣府の調査(我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成25年度))では、7カ国の満13~29歳の若者を対象とした意識調査結果から見えてくるものは、日本人の自己肯定感の低さ、意欲の無さです。
世界が褒めてくれる謙遜文化ですが、これからのグローバルな世界の広がりに対しては不要な謙遜ですが、お子さんの自己肯定感を高く育てることが出来ればより素晴らしい日本人が世界で活躍してくれると思います。
愛されていることで自己肯定感が養われ、前向きに考える力が身に付きます。また、子どもの興味を尊重し、優しく見守りましょう。
お子さんの自己肯定感をあげる行動
自己肯定感を高めるためには、親御さんが多くの愛情を注ぎ、『自分は家族に愛されている』と実感させてあげることが大切です。
そのためには、下記の行動を毎日積極的に行いましょう。
- お子さんを愛する
- スキンシップをしよう
- 家族でコミュニケーションをとる
- お子さんを褒める・感謝する
お子さんの自己肯定感を下げてしまう行動❌
お子さんが相談や会話を求めた時、話は真剣に聞きましょう。
- お子さんの話は真剣に聞く (スマホ片手に話を聞かない)
- お子さんの習い事や試験に対して、結果や点数で判断しない
自己肯定感の次に大事にしたい非認知能力が、『あきらめない心』と『コミュニケーション力』です。
あきらめない心を言い換えれば、『忍耐力』『責任感』『遂行力』、コミュニケーション力には『伝える力』『聞く力』などがあります。
非認知能力の基礎は3歳までに
5歳、6歳では、遅いわけではありませんが脳の吸収力が高い3歳までが良いとされています。
人間の脳は3歳くらいまでにおおよそ完成するようです。シナプスが張り巡らされて物事の吸収力が早いのも3歳くらいのようです。
大人と違って真っ白な紙に絵を描くが如く、偏見や先入観がありません。先ずは、良い・悪いに関係なく吸収します。
お子さんは失敗することも勉強ですから、正すことなく経験させましょう。危険には注意して『見守り』ましょう。
非認知機能の研究によると、早い時期に非認知能力を意識して訓練させることで、加速度的な延びを示し、非認知機能はどんどん高く・大きくなっていくとしています。
非認知能力:自己に関係・社会に関係
非認知能力には自己に関する能力と社会(人とのつながり)に関する能力があります。先ず、自己に関する能力について説明します。自己肯定感や意欲、自信、忍耐、自立、自制などがあります。
記事の中には、自己肯定感と自信を同様に扱っているものもありますが、別物です。
自己肯定感とは?
自分の有りのままの状態を肯定(良しとして認める)できる感情です。自分には優れているところがある、劣っているところがあるなど関係なく、自分を良しとする感情です。
他人と比較することなく今の自分を認めているため、何事も前向きに進めます。
自信とは?
自分の能力や考え方、行動、振る舞いが正しいと信じることです。
自信に近い言葉として『自己効力感』があります。自己効力感はある事に対して自信を持っている。Aをすることには自信を持っていてもBには自信がないこともあり得ます。
自立心とは?
人に頼らないで、自力で物事をこなそうとする心構えのことを意味します。
自制心とは?
簡単に言うと「自分を制御する力」つまり、自身の感情や行動をコントロールする力のことです。
忍耐・辛抱とは?
苦しさ、辛さ、悲しさなどを耐え忍ぶこと。
お手伝いは最高のメソッド
子供の頃のお手伝いは、忍耐や辛抱、自信をを付けさせてくれます。
先ずは簡単なお手伝いから始め、慣れて来たら独りでする手伝いに変えましょう。
お手伝いが継続して出来るようになれば、一つの仕事を任せましょう。
お手伝い一つで、いろいろな力を身に付けてくれます。上記以外にコミュニケーション力、工夫する力、語彙力などを伸ばすことが出来ます。
道徳には、秩序、注意深さ、努力、公平性、人間や自然との関係における協調性も含まれている。道徳や規範について覚えるのに一番有用なのが遊びです。
その他の非認知能力の解説や伸ばす方法は別の記事をご覧ください‼️(一番最後に合わせて読みたい記事として表示します)
道徳や規範を覚える
家庭内で教えることも大事ですが、お友だちとの遊びの中で覚えることがより大切です。話として、聞くより実体験の方が記憶に残りよりリアリティーがあります。
大人のケンカや口論は無い方がよいですが、子供のそれは、勉強の側面もあり傷付けない程度のものは、止めないで見守りましょう。
叩かれた時の痛みや叩いた時の心の痛みを感じることが大切です。
数人のお友だちと遊ぶ場合には、順番や相手を気遣うこと、協調性を学びます。公園での滑り台やブランコの順番待ち、遊具を大切に使うことなどを覚えます。
幼稚園や保育園に入園すればより多くのお友だちと接することができて、団体の中での気づかいを覚えます。
幼稚園や保育園では、秩序や公平性、努力以外に人と自然との関係における協調性も教わることができます。
最後に
認知能力は非認知能力が土台となって成長を助けます。小さな頃から認知能力(読み・書き・そろばん)を習わせないで、非認知能力を学ばせましょう。